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地の家運動

地の家運動

地域の家は地域で造る・・地域社会が自立するために

 日本の家づくりは終戦後に誕生したハウスメーカーの台頭により極めて異常な発展を遂げています。少数のハウスメーカーが寡占状態を続ける国は世界にも例がなく、どこの国でも地域の家は地域で造る家づくりの文化が定着しています。
 外来種の浸食が生態系を壊し種を絶滅に導く現象は自然界だけでなく、日本の家づくりにも見られ、ハウスメーカーの地方進出により多くの地域施工者が廃業や転業に追われ、裾野の地場産業群も衰退の一途を辿るなど、地域における家づくり生態系は危機に瀕しています。地域における家づくり産業の衰退は地域社会から活力を奪ったばかりでなく、工場生産による画一的な住宅の氾濫は地域から独特の家並風景を奪うなど都市環境にも大きな影響を与え、さらに、自然環境を無視した家づくりは各地で欠陥住宅問題を起こすなどハウスメーカーの家づくりは地域社会にさまざまな矛盾をもたらしています。
 今、日本は地方の自立と再生が喫緊の課題となっていますが、都市経営の面からも広い裾野を持つ家づくり産業の経済効果は高く、私たちがまず取り組むべき課題は家づくりを地域の手に取り戻すことではないかと考えています。世界の国々で普通に行われている「地域の家は地域で造る」そんな普通の家づくりが行える社会が実現しなければ、地方の自立や再生の道は拓けない、地の家の復権は日本の国を元気にするものとなるはずで、私たちが「地の家運動」を呼びかける理由もここにあります。

NPO法人地の家ネット

 平成24年、有志の地域施工者が発起人となって地の家運動の推進母体となる組織、NPO法人地の家ネットが設立されました。
 古来より日本の匠文化は師弟を軸に発展を遂げた文化で、流派を超えて横断的に関係し合うことが不得手でした。地の家の人たちは自身の技術や信条に強い自負心を持つあまり、群れるを好まない性質が強く、大きな力を前にすると時に無力になりハウスメーカーの進出を容易に許し、これが国民の工務店離れに拍車をかけたのではないか、その反省から各地の施工者が横断的にスクラムを組める場を創ろうとNPO法人地の家ネットを設立し、有志を集い「地の家運動」を進めていくことにしました。
 家は人の生活と共にあるものだから、造り手は自分の技術を誇っても相手にされず、地の家の豊かさや真面目さを暮らす人々が実感できなければ認められない、また、家づくりは地域づくりに欠かせない産業だけど、地の家が果たせる責任や役割をしっかり示せなければ誰も信用などしてくれない、そんな議論が繰り返される中で地の家運動の理念となる「地の家八誓」が、まとめられました。
 NPO法人地の家ネットはともすれば閉鎖的であった工匠たちが垣根を飛び越えてスクラムを組んだ匠文化史上でも異例の連帯組織といえます。私たちが推進しようとしている「地の家運動」は、地域の、地域による、地域の人々のための家づくりをめざす、地域社会復権の運動ともいえるものです。


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